株式会社サンワード商会と、大阪大学産業科学研究所・関野研究室は、無機と有機を合成したハイブリッドの抗ウイルス触媒の粉体化に成功、同触媒はヒトコロナウイルスを99.9%不活化することを既に実証し、サンワード商会が液体触媒での販売と繊維への受託加工で事業展開している。粉体化技術を足がかりに、2022年内に塗料や樹脂、フィルムなどに応用し、家電や電話、ゲーム機用途を開拓する。
触媒効果や素材への定着性を低下させずに、液体に溶け込んだ状態の触媒を粉体に加工することに成功。今後、原料への配合比率などの知見を蓄積し商用化する。一般的に抗ウイルス性を素材に持たせる触媒は無機系が多く、綿などの素材への定着性に優れるが合成繊維への定着性は低い。同触媒はこの課題を解決するために有機と無機を特殊技術で合成させたもので(ハイブリッド触媒)、性能が長期間持続し、インフルエンザウイルスやネコカリシウイルスで効果を実証し、マスクのほかスーツ、下着、鉄道車両やバス内への抗菌・抗ウイルス加工で使用されてきた。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)と遺伝学的にもっとも近いとされるヒトコロナウイルス「OC43」でも実証。ウイルスの膜や突起、たんぱく質を変性し、不活化することを確認。繊維以外への用途展開を拡大し、日常生活におけるウイルスの防除対策へとつなげる。日刊工業新聞(12月8日)に掲載されました。
2020年12月09日